Excelの功罪 ~ 零細企業のエクセルおじさんと話した感想 ~

独り言

こんにちは。じじグラマーのカン太です。
いつの間にかおじさんと呼ばれる年齢になりながら、週末プログラマーをしています。

最近、お客様めぐりをしてシステム化の案件の掘り出しをしていました。といっても、人見知りの僕ができることはほとんどありません。営業ができるパートナーに付き添って、お客様のお話を聞かせていただいておりました。

ほんの数社を訪問しただけですが、システム化の案件もそれを希望されているお客様も多数あります。そして、業務のシステム化を阻害している共通の要因が、「エクセルおじさん」の存在だということがわかりました。

今回の記事では、零細企業の業務改善(システム化)を阻んでいるエクセルおじさんと、そんなおじさんを産んだExcelの功罪について考察してきます。

Excelとは?

Excelとは言わずと知れたマイクロソフトさんの大発明、知らない人がいないくらいの表計算ソフトです。僕の若いころは、まだ他の会社さんの表計算ソフトがあったのですが、いつの間にか淘汰されてExcel一強になってしまいました。

表計算ソフトとは、マス目状になった「セル」と呼ばれる箱に文字や数値、計算式、関数などを入れていくもので、それまで電卓やそろばんでパチパチはじいて計算していたものを一瞬で可能にした夢のようなツールです。僕が働きだしたときは、Windowsもまだ普及していなかったので「マルチプラン」という表計算ソフトを使っていました。表計算ソフト上でマウスで自由にセルへ飛べるようになったのが画期的だと感じたことを覚えています。

Excelを使用するメリット

Excelのメリットは、ほぼこれだけでシステムが完結してしまうくらいなんでもできる万能ソフトだということに尽きます。あまりに便利なので、他の同様なソフトを駆逐しデファクトスタンダードになった面でも、万能感を高めてくれています。

単純な計算式から使いきれないくらいの関数を使える点や、ボタンひとつで作れるグラフ、マクロ機能に至っては繰り返し作業の記憶から複雑なプログラミングまで可能となっているところ、はたまたピボットテーブルなんていう魔法のようなツールまで取り揃えているのですから、使わない手はありません。

Excelを使用するデメリット

Excelのデメリットとしては、ほとんどないと言っても過言ではありません。あえて挙げるとすれば、データ量が多くなるとレスポンスが悪くなるところや複数の使用者が共有して使うことが難しい、といったところくらいでしょうか。

このデメリット面も、運用や工夫次第で解決できるレベルのものですので、ビジネスツールとしては最強であると言わざるを得ません。

Excelおじさんとは

僕がExcelおじさんと呼ぶ人達は、Excelをつかいこなしている達人です。達人が作ったExcelファイルは、シート間に張り巡らされた計算式をはじめ、マクロや他のファイルとのリンク、はたまた中間式を非表示にしたりして使いこなしているため、作成者以外その全貌を知ることができなくなっています。条件付き書式なんかが駆使されたファイルは、他の人が解析するのは至難の業(めんどうくさくて仕方がないという点で)です。

そんなExcelおじさんは、日々の複雑な作業をExcelに落とし込んでいるため、そのExcelがないと仕事が進まないような状況になっている場合がほとんどです。逆に言うと、そのExcelの仕様がわからない限りそのExcelおじさんが担当している仕事の内容がわからない、なんていう現象が発生しています。

Excelが零細企業のDXを阻んでいる?

今回僕たちは、外部から見てIT化が進んでいなさそうな会社を重点的に訪問していました。そのような会社にはシステム化の提案を持ち込みやすいと感じていたからです。経営者の方たちは、皆一様に業務のシステム化を望んでおり、「誰がやっても同じ仕事ができる」という状況を作ろうとされていました。それは、人材の高齢化(高給化)と若い人材の不足が大きな要因となっているケースがほとんどです。

経営者サイドがITを駆使して業務の簡略化や平準化を企図しても、肝心の仕事の中核を握っているのはExcelおじさん達です。僕たちがデータの共有化やシステム化を提案した際、Excelおじさん達は「今できているから要らない」と回答してきます。その答えを経営者さんが苦虫を嚙み潰したように聞いている、という地獄絵図のような状況を何度も見ました。

Excelおじさんが「できている」というシステムは、そのおじさんしかわからないExcelを駆使した仕事です。つまり、そのExcelおじさんがいないと仕事が回らないケースがほとんどです。経営者サイドは仕事の内容をオープンにしてもらって、Excelおじさんがいなくても仕事が回るようにしたいと考えても、当のExcelおじさんは仕事を手放そうとしないので、なかなかうまくいきません。たいていのExcelおじさんは、今までの会社にとって必要不可欠な貢献者だったわけで、経営者サイドも強く言えないケースもありえます。

日本の中小零細企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まないのはこのあたりの事情も多いにからんできているのではないかと感じています。

DX化なんて大きなテーマを引っ張りだしてきましたが、僕たちが仕事の対象としているのは零細企業の小さなシステムです。そのシステム化を阻んでいる要因がExcelおじさんにあるならば、Excelおじさんとたたかう必要がありそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、僕の実体験として見たExcelおじさんの生態からデジタルトランスフォーメーションなんて大きなものを考察してみました。

日本の産業の行く末をどうこうするつもりも能力もありませんが、とりあえず目先のライバルであるExcelおじさんが作ったExcel以上に優れた、しかもデータや仕事内容の共有化ができるシステムを低予算で作る必要があることはまちがいなさそうです。

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